しかし世の中面白いものですね。
およそファッションとは縁遠い、ホームセンターの一角でひっそりと売られていた腕時計が、若い女性の心をとらえるなんて。
いま若い女性を中心に、「チープカシオ」として人気が集中している腕時計「MQ-24-7B2」のことです。
目次
若い女性に人気のMQ-24シリーズ
チープカシオは周期的にブームのようなものが起きているようですが、今回のブームは2015年5月頃から。
本サイトのチープカシオ関連記事のアクセスが急騰したのも、ちょうどその頃。
「テレビか何かでチープカシオが取り上げられたのかな?」と思って調べてみましたが、マスメディアが流行のきっかけではなかったようです。
では何がきっかけかというと、インスタグラム、ツイッターといったSNSでした。
とりわけ、ファッションに敏感な若い女性の投稿が目立ちます。
ノームコア
「究極の普通」を意味する「ノームコア」にマッチする腕時計として、チープカシオ(特にMQ-24-7B2)が若い女性の支持を得たようですね。
「何気ない普通のスタイルがおしゃれ」と言われたら、なんだかそんな気になってきましたが、この腕時計をおしゃれに着こなすには、それ相当なセンスが必要でしょうね。
聞きかじった程度の知識で「究極の普通」だと言い張っても、はた目から見たら「それ単なる普段着+安時計…」で終わってしまいそうです。
それでも、ファッションとは縁遠い私から見ても、この腕時計に人気がある理由はわかります。
これ以上ないシンプルデザイン
まず、これ以上ないシンプルなデザインがいい。
ファッションブランドの名を関する腕時計と比べても、そのシンプルさは群を抜いています。
例えば、このスイスブランド「モンディーン」と比較してみてもまったく見劣りしません。
好みというものもあるでしょうが、私はMQ-24-7B2の方が好きです。
HANDEL GOTHIC(ハンデル・ゴシック)
特に気に入っているのが、文字盤の数字です。
まじめな様で遊んでいるような、この特徴的なフォントは「HANDEL GOTHIC(ハンデル・ゴシック)」という名のフォントです。
その近未来なデザインから1980年代に人気が高まり、いまなお未来的なデザインを象徴するものとして多くのプロダクトに使用されています。
例えば、ラグビーワールドカップ2015のロゴ、マツダ、PEPSIなどの企業ロゴ等。
タイトルは覚えていませんが、多くのSF映画でも用いられていたと思います。
MQ-24-7B2のコンセプトに近未来が謳われていたかは定かではありませんが、少なくともこのフォントのおかげで、一段とスタイリッシュなデザインに昇華されているのは間違いありません。
ユニバーサルデザイン
しかも、効果はそれだけにとどまらず、腕時計としての基本機能の向上にも一役買っています。
「3,6,8,9」といった数字は、フォントのデザインによっては読み違えてしまうこともありますが、HANDEL GOTHIC(ハンデル・ゴシック)の場合は、はっきり区別できるデザインとなっているため、誤読の恐れはありません。
更に、基準位置である12時も瞬時に識別できます。
黒とアイボリーのコントラストも効いており、時計本来の機能である、時刻の読み取りやすさは抜群です。
何の変哲もない、どこにでもある安時計のようでありながら、実は深いところまで考えて設計された腕時計、それがMQ-24-7B2ではないでしょうか。
それでいて、カシオ計算機ウェブサイトでは、一切の能書きがない。
「使ってもらえばわかる」そんな自信の表れ、と深読みしたくもなります。
先ほど例に出したモンディーンの腕時計には、スイス鉄道公式ウォッチだとか、アップルが勝手に自社製品の時計アプリに使用したとか、時計ファンならずとも語りたくなる物語がありますが、MQ-24-7B2も負けず劣らず、話題には事欠かないのです。
スイスブランドより高品質
しかも品質も高い。
実はモンディーンも持ってはいますが、これは一言でいうとデザインウォッチ。
品質は二の次といった印象です。
私が買った個体が、たまたまはずれだったのかもしれませんが、分針がぐらつくのです。
時刻合わせのためにリューズを回すと、分針が目盛の前後、30秒程度グラグラしてしまいます。
目盛ピッタリに針を移動させても、リューズを押し込んだときに分針がヌルッと動いてしまうこともしばしば。
歯車の遊びが大きすぎるのが原因でしょうね。
時計をひっくり返すと重力に負けて、針がカクンとずり下がってしまう有様です。
更には経年劣化だと思いますが、文字盤の塗装が剥げてしまい、せっかくのシンプルデザインが台無し。
電池切れになった今となっては、もはやモンディーンの出番はありません。
それに引き換え、MQ-24-7B2は針にぐらつきはなく、リュウズ操作も確実に操作できます。
どんなにデザインが優れていても、製品としての完成度が低くては、安心して使用することはできませんよね。
25倍もの価格差があるのにこの勝負、価格の安いMQ-24-7B2の圧勝です!
抜群の装着感
視認性よし、操作性よし、とくれば最後は付け心地。
この付け心地については、私がレビューするまでもなく、他の方々のレビューで実証済み。
「装着感は半端なくいい」です。
ペラペラの樹脂ベルトなのに(だからこそ?)びっくりするぐらい、腕にフィットします。
腕になじむようにカーブしているわけでもない、単なる板状の樹脂ベルトなので、一見したところ腕になじまないのでは?という印象を受けますが、これがどうして、実にしっくりくるのです。
F-91Wより付け心地が良い
F-91Wのレビューでも似たようなことを書きましたが、MQ-24-7B2のほうが更に付け心地がいいです。
比べてみると、MQ-24-7B2の方が薄くて柔らかいベルトが使用されていました。
このあたりも、MQ-24-7B2が女性の人気を集めている理由の一つかもしれませんね。
気になるMQ-71シリーズ
ところで、本ブログにいつもコメントを寄せてくださる鐵さんから、去年11月にMQ-71シリーズの存在を教えていただきました。
カタログ写真で見る限り、MQ-24シリーズから針と文字盤を替えた、バリエーションモデルの印象。
これは入手してMQ-24-7B2と比較せねば!ということで購入してみました。
ガワも中身もまったく一緒
すると予想通り、ガワも中身もまったく一緒でした。
でも針と文字盤が変わるだけで、こんなに雰囲気が変わるものなんですね。
シンプルで繊細なMQ-24-7B2に対し、数字・針ともに太く力強いMQ-71-4Bには、頼もしささえ感じます。
鮮やかな蛍光オレンジ色が黒に映えて精悍です。
ちょっとミリタリーテイストで、MQ-24-7B2とは違った良さがありますね。
チープカシオには珍しい夜光つき
更にMQ-71-4Bは、チープカシオには珍しい夜光つきです。
残念ながら光るのは針だけで、その光も微かなものですが、夜間の視認性に乏しいアナログ・チープカシオの中にあっては力強い存在です。
ただし、その針の質感には少し不満が残ります。
時計全体が落ち着いた艶消し仕上げなのに対して、針は光をよく反射するため、針だけ浮かび上がってしまい、すこし調和が取れてない印象です。
チープカシオにそこまで要求するのは酷な気もしますが、針は文字と同じ色調のオレンジにしてほしかったところです。
チープカシオは一期一会
ということで、夜光こそないものの視認性が高く、これ以上シンプルにはしようがない、MQ-24-7B2のほうが私の好みには合いました。
とはいえ、ミリタリーテイストのMQ-71-4Bは、チプカシの中では貴重な存在です。
いつでも簡単に手に入るのがチープカシオですが、いつの間にか製造終了してしまうのも、またチープカシオ。
気になったときに手にするのが、正しい付き合い方かもしれませんね。
はじめまして。自分もコイツとf91wを愛用してます。アナログの腕時計が必要になった時に1000円をきる価格と信頼出来るカシオ製とあって購入しました。ファッション的なところは一切期待してなかったんですが実際使ってるとなかなか良いもんなんですね。
ただバンドに関しては腕の太さによっては違和感のある感じでないでしょうか。遊環が少し緩めなのかベルトが長いのか・・・
aoiさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
>信頼出来るカシオ製
そうなんです!私がカシオ好きなのはここなんですよ。
どんなに安くても、低品質ではどうしようもありませんからね。
確かに遊環は緩めですね。
長すぎるようなら、思い切ってベルトを切ってしまうのもいいかもしれません。
切り口をきれいに面取りするのは難しいと思うので、おすすめ、とは言えないんですけどね。
詳細レビュー、有難うございます。
不変デザインのMQ-24、ミリタリーテイストを加味したMQ-71。
どちらも素晴らしいモデルだと感じていますが、実はMQ-71の方が
MQ-24よりも更にベルトが薄くフィット感がほんの少し上だったりします。
勿論、私の個人的な感受性ではありますが。
カシオの時計には、時間は誰にでも知る権利があり、時計をつける楽しさや
安定した品質の様々なモデルを安価で購入させてあげたいという、
購入側に立った思いが商品に現れていると個人的に思いますし、
有る意味庶民性を大事にしている様なカシオが大好きです。
なるほど。MQ-71の方がよりフィットするんですね。
私にはそこまで違いが判りませんでした。
もしかしたら、製造工場とか違うのかもしれませんね。
はじめまして。MQ24シリーズは良いですよね!ザ・チプカシアナログですね。
Showさんがご紹介されている2つのモデルは持っておりませんが、自分もMQ24−1Bをもっています。以前はこれの白文字盤を持っていました。それはなんとなくAmazonで買って見たのですがあまりの装着感の良さからとっても気に入り、時計好きにさせられました。秒針のズレを直してみたりとムーブメントにまで悪さをするようになりました。ですがこのMQ24は失くしました。
代わりにセイコー5を買ってさらにドツボにハマり、ベルトいじりや精度追込みに励みましたが自転車用が欲しくなり、MQ24−1Bを買いました。培ったノウハウを活かし、ルミノーバテープで夜光文字盤、針にしています。(以下のURLの画像)
http://imgur.com/cmxTVFN
夜光自体は簡単でしたが、太くなった針のクリアランス確保のために秒針の歯車を曜日付きで軸の長いMTP1239のムーブのものを移植し、削るのが大変でした。クオーツモジュールも手持ちのもの数個で試し、一番精度が良い物を載せておきました。
お安く強力夜光にできて、チプカシは可能性無限大ですね!!!
sugi5catsさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
画像拝見しました。
チープカシオでもここまでできるんですね。感動です。
ルミノーバテープというものを初めて知りましたが、便利なものがあるんですね。
それにしても、粘着テープ状のものをミリ単位で加工・貼り付けできるなんて、すごい技術をお持ちでうらやましいです。
「お安く強力夜光にできて…」とサラッとおっしゃってますが、簡単にできることじゃありませんよ!
アナログ時計のカスタムはハードルが高すぎて、私にはできませんので。
でもいつかはやってみたいです。