生きている化石といえば、シーラカンスが有名ですが、今回ご紹介するアナデジ・チープカシオ(AQ-230GA-9D)は、腕時計界の生きている化石といえるでしょう。
上段にアナログ、下段にデジタルで、略してアナデジ。
まさに1980年代を象徴するデザインです。
目次
1980年代、アナデジ全盛期の生き残り!
このスタイルの腕時計を日本で最初に発売したのはシチズンでした。
1980年に「シチズン・アナデジ」を発売すると、たちまちヒット商品に。
これを受けて、他社もまけじと追随します。
「シチズン・アナデジ」(右)と記念撮影
セイコーは、アナログとデジタルの配置を逆にした「セイコー・ハイブリッド」を発売。
(のちに、上段アナログ・下段デジタルの商品も発売したようです)
リコーからも、アナログ文字盤の中にデジタルを埋め込んだ、「リコークォーツAD」が発売され、アナデジ・ウォッチ全盛期を迎えます。
その洗練されたデザインは、大人向けの高級ウォッチとして人気を博し、市場を席巻したものです。
しかし、アナデジ人気は次第に失速。
各社軒並み撤退(※)してしまい、残るは、我らがカシオだけになりました。
シーラカンスと比べると、時間軸のスケールが違いすぎますが、「当時の姿そのまま」という点は同じ。
そういう意味では、この腕時計(AQ-230GA-9D)は、生きている化石といえるでしょう。
(※)シチズンは、いまでもQ&Qブランドでアナデジ・ウォッチを発売していますが、そのデザインは1980年代のスタイルとは異なります。
クラシックスタイルのカレンダー
「当時の姿そのまま」というのは、外観だけではありません。
液晶ディスプレイに表示される、デジタル表示のカレンダーにも、1980年代の名残を感じることができるのです。
たとえば、このG-SHOCK(1996年発売開始)では、金曜日を表す”FR”はこのような形をしています。
現在、カシオのデジタル腕時計では、この形が主流です。
しかし、この腕時計(AQ-230GA-9D)の”FR”は、今ではめったに見かけない独特の形をしています。
こちらの方が、“R”の形を忠実に再現してますね。
しかし、1990年代中ごろには(継続して販売されているものを除き)すっかり見かけなくなりました。
私としては、旧型表記の方が好きなんですが、数字表示のときに右下が欠けるので、今の形に変わったのかもしれませんね。
ちょっと残念な気もします。
と思ったら、「デジタル表示の一部が欠けている」と勘違いした楽天レビューを発見!
やっぱりメーカーにも問い合わせがあり、それを受けての対策だったんでしょうね。
強弱がないボタン操作音
また「ボタン操作音に強弱がない」という所にも、1980年代の古き良きデジタルのにおいがします。
カシオの腕時計(デジタル)の大半のモデルには、ボタン操作音に強弱がつけてあり、ストップウォッチなどの他の画面から時刻表示に戻るときには、一段高い音が鳴るようになっています。
時刻表示に戻ったことを聴覚的に通知してくれる、親切設計というわけです。
ところが、この腕時計(AQ-230GA-9D)の場合は、常に同じ音が鳴るだけで、そのような配慮はありません。
設計当時に音に強弱をつけるという発想は、まだなかったんでしょうね。
これが理由で使いにくいという事はありませんが、G-SHOCKの操作感に慣れていると、最初のうちは違和感があるかもしません。
ストップウォッチのリセット操作は、ボタンの長押し
むしろ、強い違和感を感じるのは、ストップウォッチの方でしょう。
その理由は、計測後のリセット操作が「左下ボタンの長押し」という手順になっているから。
この操作方法には、多くの人が戸惑うはずです。
初めてストップウォッチを使う人はもちろん、ストップウォッチに慣れている人でも、直感的に使いこなすのは難しいでしょう。
このような機械ものは、操作説明書を読まなくても直感的に操作できるのが理想的ですが、この腕時計(AQ-230GA-9D)のストップウォッチは、手順を知らないとリセットできないはず。
商品付属の取扱説明書も外国語なので、「買ったはいいが、使い方が良く分からない…」という人も多いかもしれません。
でもご安心ください。
日本語取説がカシオのサイトにちゃんとあるので、しっかり保存しておきましょう!
アナログ針もボタンで操作!
この腕時計(AQ-230GA-9D)の面白(謎?)仕様はまだあります。
それは、アナログ時計の合わせかたです。
アナログ時計の時刻合わせといえば、「リュウズを引出した後、リュウズを回して針を所定の位置にセットする」という操作が普通ですよね。
でも、さすがはデジタルのカシオ。
この腕時計(AQ-230GA-9D)は、アナログ針もボタンで操作するのです。
右側ボタンを押すごとに、20秒ずつ分針が進みます(3回押すと1分進む)。
でも、逆回転はできないので、行き過ぎたときは「グルーッと針を12回転」させなくてはなりません。
といっても時刻修正のたびに、アナログ針をちまちま操作する必要はありませんから、ご安心のほどを…
アナログの分針はデジタルの秒と連動しており、デジタルの秒を合わせることで、自動的にアナログの分針も修正されるようになっています。
アナログ+デジタルだから実現できる、トリプルタイム
さらに面白くて、実用的なのがトリプルタイム。
この腕時計(AQ-230GA-9D)は、3つの異なる時刻を表示することができるのです。
この大人しそうな腕時計に、そんな機能があるとはちょっと意外ですよね。
1つ目の時刻は、アナログ時計。
右側ボタンを押すと針が回るので、好きな時刻を設定することができます。
2つ目の時刻は、デジタル時計。
先ほどデジタルとアナログは連動していると言いましたが、正確に言うと、連動しているのは秒だけ。
デジタル時計の秒が20秒,40秒,00秒になったときに、アナログの分針が連動して動くだけなので、デジタルとアナログの時刻はバラバラでも構わないのです。
これで、アナログとデジタルで、2つの時刻を表示することができました。
最後の3つ目は、デジタル時計に内蔵されているデュアルタイム(別時計)です。
しかも、2つのデジタル時計は、個別に12時間制と24時間制を設定できるという、柔軟設計のおまけつき。
(それぞれ個別に、12時間制と24時間制を設定できるのは、かなり珍しいです)
この機能の応用例として、同じ時刻を設定しておき、ひとつは12時間表示で、もう一つ(アラームと連動するほう)は24時間表示で利用する方法があります。
こうすると、普段は見慣れている12時間制で表示しておき、アラーム設定のときだけ24時間制で使用する(※)という使い分けができるようになります。
(※)午後を表す”P”マークが小さいため、12時間制ではアラーム設定時刻の午前・午後を間違えやすいのです。
プラスチックのボディーは、往時のステンレス製にはかなわないが…
最後に、せっかくのゴールドモデルなので、ルックスにも触れておきましょう。
最初にも書いたように、1980年代そのもののデザインで、見ようによっては古臭いともいえます。
素材も往時のステンレス製ではなく、プラスチックにメッキなので、チープといえば確かにチープ。
ベルトもメッキされてるのは表だけで、留め具(留めると見えなくなる受け側)に至ってはメッキなしです。
でも、なぜか憎めません。
アナログ針が繊細で美しく、時計本体も薄型で落ち着いた雰囲気を醸し出しているので、安っぽさを打ち消しているのでしょう。
ゆったり時間が流れる、2針のアナログ
秒針がないので、時間の流れがゆったりと感じられるのも良いですね。
デジタル部分をカレンダー表示にしておくと、ほとんど動いてないように見えるので、ドレスウォッチの雰囲気も楽しめそう。
なかなかオシャレな腕時計です。
サイズ的には、メンズというよりボーイズサイズ。
ベルトもかなり小さめに調整できるので、女性がつけても違和感がないでしょう。
女性ユーザーの楽天レビューも高評価が目立ちます。
文字盤が淡い色調(黄色を帯びたシルバー)に抑えられているため、派手な感じはしませんから、ゴールドを敬遠していた人にもチャレンジしてほしい腕時計です。
ゴールドにありがちな嫌味はありませんよ。
もしゴールドを身に着けるのに抵抗があるのなら、観賞用としてコレクションするのもいいと思います。
見ているだけでも、癒されること間違いなしです!
showさんこんばんは。ゴールドラッシュですね(笑)
それにしてもこの時計考えられていますね。前にg-shockのアナデジを持っていましたが針とデジタルが重なって見えない時があるんですよね。今のは針待避機能なんてついていますけど前のタイプの物なのでついてませんでした。この時計ならそんなことも気にせず使えますね。ひとつ感じたのは2針というところです。秒針も欲しいなーと個人的には思います。デジタル表示部に秒が表示されるから必要ないでしょうが…。
実は「ゴールド・チープカシオ対決」が裏テーマだったのです(笑)
針とデジタルが重ならないこの形は、デザインの制約が多くてG-SHOCKやプロトレックでは難しいんでしょうけど、リニエージなら違和感なさそうです。
できれば、リニエージから電波ソーラーとしてリニューアルしてほしいですね。
もちろん秒針付きで!
昭和のハイソ感が素晴らしいです。
一時購入を考えたもののボタン式指針のAW-80で凄く面倒な思いをさせられたので、自分には合わないと思い諦めました。
やっぱり昔のAQ-419のような竜頭での指針調整はコストが掛かるんでしょうか。
AW-80の取説を見たら「デジタル部の時刻を修正したときは、必ずアナログ部も修正してください。」と書いてあったので、デジタルとアナログは非同期なのでしょうか?
だったらすごく面倒ですね。
でも、AQ-230はデジタルとアナログが同期してるので、それほど面倒ではありませんよ。
デジタルの秒をリセットすると、アナログも同期して自動的に修正されるようになっているので、アナログの時刻合わせが必要なのは最初の一回だけです。
リューズの方が直感的に操作ができますが、押し込んだときに針がぬるっと動くこともないので、ボタン式もそれなりに便利ですよ。