面白い腕時計を見つけました!
新しいチープカシオ?
残念でした。これはチープカシオではありません。
文字盤の左上をよく見てください。
「CASIO」ではなく「Q&Q」っ書いてあるでしょう?
そう、これはチープカシオ(カシオスタンダード)ではなく「Q&Q」の腕時計なのです。
目次
シチズンのチープカシオ?
でも「Q&Q」と言われてもピンとこない方も多いかもしれませんね。
「Q&Q」はシチズンが展開している、お手頃価格の腕時計で、立ち位置的にはカシオ計算機でのチープカシオとまったく同じ。
デザインまでそっくりです。
最初に面白いと言ったのは、まさにそのこと。
チープカシオそっくりな腕時計を、シチズンが今頃になって出してきたところなのです。
というのも、過熱気味だったチプカシブームは過ぎ去り、すでに定着期に入っているんですよ。
ブームの真っ最中ならともかく、今頃になって投入してくることに、どんな戦略が隠されているか、とっても気になるところです。
日本国内向けではなく、海外市場への投入ですから、日本のチプカシブームとは直接関係ないのかもしれません。
ただ、これだけデザインを寄せてきてるのですから、何らかの関連はありそうですよね。
海外でもレトロなデジタルウォッチは人気があるので、チープカシオを意識しているのは間違いなさそうです。
バリエーションモデルにしか見えない?
こうして並べてみると、同じメーカーから出ているバリエーションモデルにしか見えませんもの。
腕時計に興味がない人からすれば、同じ時計の色違いにしか見えないはずです。
8角形のボディーに始まり、バンドデザイン、文字盤構成、液晶の文字配列に至るまで、まるでチープカシオをお手本に造ったかのよう。
細かい違いはありますが、このデザインではパクリといわれても仕方ありませんね。
一応シチズンを擁護しておくと、昔(1970~90年代頃)はシチズンも、こんな感じのデジタルウォッチをたくさん出してたんですよ。
しかも、当時から8角形を基調にしたデザインが主流でした。
なので、レトロ感をテーマにデザインしたら、結局こんな感じの腕時計になるのは、ある程度仕方ないのかな?と思います。
ただ、それを差し引いても、ガチガチにチープカシオに似せてきた感は否めません。
Q&Qのこだわりとは?
とはいえ細部をよく観察してみると、Q&Qなりのこだわりが見て取れます。
まず目につくのがボディー形状。
細かいモールドが施してあり、パーツのエッジもシャープです(※)。
(※)樹脂バンドモデルのみ。金属バンドモデルはメッキが厚いため、シャープさは半減してます。
面構成もQ&Qの方が複雑で、カシオよりも彫りが深い印象です。
それに比べて、カシオのほうは「のっぺり」した感じがしてしまいます。
ボディーとバンドの接合部(ラグ)が水平にカットされていることもあり、全体手に平面的なイメージです。
平面的に見える分だけカシオの方が薄く見えますが、実際には厚さの違いはほとんどありません。
下がQ&Q
両者ともボディーは8角形ですが、カシオの方が角度が緩く、バンドとボディーに一体感があります。
逆にQ&Qの方は8角形の角度がきつく、装着した時にボディーが際立つ印象です。
チプカシよりモダンなQ&Q
こうして比べてみると、カシオの方がレトロ感が強く、Q&Qは現代的なアレンジを施すことで差別化を図っていることがうかがえます。
樹脂バンドの溝もそっくりに刻まれており、ここもカシオをお手本にしたようですが、丈を長くした事は評価できます(※)。
(※)尾錠から穴の位置までの長さは同じなので、装着可能な最大腕まわりはほほ同じ。
Q&Qのほうが、装着時の安定感は上
一番端で留めたときもバンド先端が遊環に収まるので、Q&Qの方が安定感があるのです。
右がQ&Q
しかも、Q&Qのほうが柔らかいので、フィット感も上回ります。
更にQ&Qのほうが厚みがあるので、耐久性はカシオより高そうです。
外側がQ&Q
耐久性でいえば、尾錠(留め具)についても金属製であるQ&Qのほうが優位に立ちます。
(カシオは樹脂製)
ただし、通常の使用状況においては、ほとんど差はないでしょう。
尾錠が壊れる前にバンド自体が切れるはずです。
そういう意味では、金属バンドには安心感がありますね。
その金属バンドモデルも、チープカシオにそっくりです。
実はチープカシオは、バンド素材だけでなく本体や文字盤のデザインも微妙に変えてあります。
ところが、Q&Qは配色こそ異なれど、デザインは全く同じ。
そこに価値を見出せるかというと微妙ですが、カシオの方が手が込んでいるとは思います。
ただ、Q&Qはバンド接合個所の形状も同じなので、バンド入れ替えのお遊びができるのは、ちょっと楽しいかもしれません。
今回チョイスしたモデルは、ダーク系なのでバンドを入れ替えても違和感がありません。
液晶表示はチプカシの方が美しく読みやすい
では、肝心の視認性はどうでしょうか?
これは、カシオのほうが勝ります。
背面と数字のコントラストもカシオの方が高くて、数字がクッキリ読みやすい。
ディスプレイが広く数字も大きいので、カシオの方が表示に余裕があるのも、読みやすさに貢献してます。
Q&Qは狭いところに数字が押し込められているようで、やや窮屈な感じです。
とはいえ、Q&Qが特別見づらいということはなく、十分合格点はつけられます。
ですが、Q&Qにしてみれば相手が悪かったですね。
なにしろ、F-91WとA158Wの液晶表示の美しさは、カシオ製品のなかでもトップクラスなのですから。
レイアウトは全く同じですが、美しさではカシオにかないません。
しかし、Q&Qなりの工夫もあります。
実用的なQ&Q
それは、アラームと時報の設定表示を文字表記による通知を採用したことです。
カシオは、アイコン表記を採用しているため、アイコンの意味を覚える必要がありました。
その点Q&Qでは、機能名が文字で表示されるので、間違いようがありません。
機能をオンにすると、文字列が並ぶことになるため、少し野暮ったい感じもしますが、分かりやすくて便利です。
機能面ではQ&Qのほうが上
これ以外にも機能面では、Q&Qがカシオを上回ります。
一番の違いはQ&Qが、フルオートカレンダーを搭載していること。
Q&Qの日付設定画面
カシオはセミオートなので、うるう年の2月29日と3月1日には日付を修正する必要がありました。
カシオの日付設定画面
その点Q&Qは、一度日付をセットすれば電池交換まで手間いらずです。
デュアルタイムも搭載されているので、国際的な活動をしている人には役に立つでしょう。
(個人的にはデュアルタイムは必要ないので、シンプルなカシオの方が好みではあります)
右上ボタンを長押しすると、年月日表示に切替わるのも便利かもしれません。
もちろんアラーム、ストップウォッチも使用可能です。
12/24時間表示も切り替え可能
12/24時間表示も切り替え可能で、カシオの機能で使えない機能はありません。
アラームは止めない限り1分間鳴り続けます。
チプカシ以上に暗いQ&Qのライト
最後に、興味深いのがライト機能です。
カシオのライトは、照度が極めて低いため暗闇での視認性は期待できません。
(見えなくはありませんが、凝視する必要があります)
このことはシチズンも承知のはずですが、なぜかQ&Qのライトも非常に暗いのです。
後発なので、当然カシオの弱点を突いてくると思っていたのですが、そうしなかったのはなぜでしょうか?
ライトが暗いところも含めてレトロデザインなのかもしれませんが、ぜひとも明るいライトが欲しかった。
まさかカシオに対抗するには、ここの再現も必須事項だと判断したとも思えませんが…
ともかく、ライトには期待しないほうがいいですよ。
チプカシにはないカラーバリエーション
とはいえ、この腕時計は面白い。
まず、チープカシオにない配色がそろっているのが魅力的です。
今回ご紹介した2点以外にも多彩なカラーバリエーションがラインアップされているので、コレクションする楽しみがあります。
チープカシオに似てはいますが、単なる模倣にとどまらないデザインにも惹かれました。
際立つデザインが魅力的
後発だけによく考えられており、腕に着けたときに時計本体が際立つようにデザインされているのが魅力的です。
日本国内での発売はなく海外専用モデルなのが残念ですが、いまやネットで簡単に手に入る時代です。
楽天市場の「つきのとけいてん」さんが輸入販売されているので、一つ検討されてはいかがでしょうか?
チープカシオが好きな方なら、十分楽しめるはずですよ。