この腕時計を見ると小学生のころに憧れたデジタル腕時計のことを思い出します。
1970年代のマンガ雑誌に掲載された近未来的なデジタル腕時計の広告を羨望の眼差しで見つめたものです。
今にして思えば、セイコー・アルバ、シチズン・ベガ、カシオデジタルといった廉価版ラインナップだったのですが、当時の私には手の届くものではなく、中学卒業記念にカシオデジタルを買ってもらった日のことは、今でも鮮明に覚えています。
1970年代といえば、腕時計メーカーがこぞってデジタル腕時計を発売していた頃です。
その頃のデジタル腕時計は、このB640WD-1AVのような樽型デザインが主流で、当時の腕時計はデジタルこそが時代の最先端で、ちょっとしたデジタルブームになりました。
値段も高価で、小学生のお小遣いでは到底買えるものではないのに、なぜマンガ雑誌の広告に載っていたのか今でも不思議です。
当時の小学生でどのくらいの子どもが買ってもらったのでしょうか。
少なくとも私の周りには一人もいませんでした。
ところが大量生産と共に低価格化が進み、今やデジタル腕時計はホームセンターでも簡単に手に入るようになり、昔感じた近未来的なワクワク感や高級感はそこにはありません。
隔世の感がありますが、時代とともに物の価値が変わるのは仕方のないことなのでしょう。
しかし、このB640WD-1AVには1970年代の面影が確かにあります。
プラスチックケースに金属風塗装の仕上げには、現代のコストカットの風潮を感じざるを得ませんが、薄型の金属バンドに樽型ケースのデザインは1970年代そのものです。
そして、何より特筆すべきは、7セグメント(デジタル数字)のデザインでしょう。
たかが数字と侮るなかれ。
7本の棒で数字だけでなくアルファベットも表記する優れた表示システムの7セグメントは、画期的なものなのです。
カシオの発明ではないものの、カシオデジタルの数字は他社のものより優れており、何度見ても飽きることはありません。
なかでも1970年代のデザインは秀逸で、やや細身のセグメントは機能美に溢れています。
7セグメントのデザインも時代とともに変化しており、現行Gショックではやや肉付きがよくなり力強さを感じるのに対し、1970年代のものは細身で繊細です。
このB640WD-1AVの7セグメントには1970年代の雰囲気が強く残っており、全体的なフォルムと共に当時の面影を今に伝える貴重なモデルなのです。
機能も充実しているので、ぜひ操作説明書(PDF)で確認してみてください。
ところが、これほど優れた腕時計でありながら、日本国内では発売されていません。
この腕時計ならスーツにも合うのでビジネスにも使えると思うのですが、日本では売れ行きが見込めないのでしょうか。
無理して高価な腕時計をつけるよりもよっぽど好感が持てると思うのですが…
とはいえ入手はそれほど難しくなく、楽天などで簡単に見つかります。
現代風にアレンジされたバリエーションカラーもラインラップされていて、セットで揃えればビジネスとカジュアルで使い分ける利点もあるのです。
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最近同じタイプ異なるモデルの物を購入しましたが、数字画面液晶を照らすLEDの輝度が余りにも弱く、左端の二文字程度しか読めない。やはり安物の域は出ませんね。安かろう悪かろうの時代を歩んでいる事も事実として製品に現れています。
時計好きさん。はじめまして。
購入されたのは、A158WA-1(の兄弟モデル)でしょうか?
確かにライトが暗くて夜はほとんど見えませんよね。
この辺は、そういうものだと割り切るしかなさそうです…
でも、A168WA-1というELバックライト付きのモデルもあるんですよ!