今回レビューするのは、データバンク・カリキュレーター CA-506-1です。
1984年から販売されているロングセラーで、昭和を感じさせるレトロなデザインが郷愁を誘います。
当時の近未来への期待感がヒシヒシと伝わってきますね。
そんなレトロな腕時計ではありますが、2015年の今でも入手可能な現役モデルで、2000年から2099年まで対応のフルオートカレンダーを装備しています。
そして目玉は計算機能。
メモリー機能やルート、パーセントキーこそ省略されていますが、それ以外は通常サイズの電卓と同等の機能が搭載されているのです。
目次
意外にもテンキーは操作しやすかった!
ところが残念なことに購入した人のレビューを読むと、「電卓機能はほとんど使うことはないでしょう」とか「電卓機能は使いませんがデザインは気に入っています」など、まるで電卓機能はおまけか飾りと言わんばかり。
確かにこんなに小さなボタンがずらりと並んでいたら、さぞかし使いにくいだろうと思うのも無理はありませんが、(私もそう思っていましたが)実際に使ってみると意外にも操作しやすいのです!
ゴム製のキーは感触が指にしっかりと伝わりますし、適度な抵抗があるので押し間違えることは滅多にありません。
(爪を伸ばしていると操作しにくいかもしれません)
小さくても計算機能は本物!
しかも前述のとおり、小さくても計算機能は本物!
なにしろ社名は「カシオ計算機」というくらいですから、計算機能に抜かりはありません。
その証拠に「定数計算」や「逆数計算」ができるのです!
でも「定数計算」「逆数計算」と言われてもピンとこないですよね。
なので、操作方法を含めてその内容を確認することにしました。
定数計算とは?
定数計算とは、同じ数(定数)を連続して計算することです。
例えば「アンケートの回答数が全体の何パーセントか求める計算」などが該当します。
例)
以下アンケートの「はい」「いいえ」「どちらでもない」の回答数が、それぞれ全体の何パーセントか計算する。
回答 | 回答数 |
---|---|
はい | 35 |
いいえ | 20 |
どちらでもない | 3 |
これを普通に計算すると、以下のような手順になります。
計算内容 | キー操作(下段は%キーとメモリー機能つき電卓の操作) | 表示 |
---|---|---|
全体の合計 | 35+20+3=35+20+3[M+] | 58 | 「はい」と答えた人の割合 | 35÷58×100=35÷[MR]% | 60.344827 | 「いいえ」と答えた人の割合 | 20÷58×100=20÷[MR]% | 34.483758 | 「どちらでもない」と答えた人の割合 | 3÷58×100=3÷[MR]% | 5.1724137 |
ここで注目してほしいのが、÷58を繰り返し操作しているところです。
(メモリー機能を使用する場合は÷[M+])
このように同じ数を使って計算することを定数計算といいますが、電卓の「定数計算機能」を使うとキータッチ回数を減らすことができるのです。
以下に定数計算機能を使用した計算手順を掲載します。
(カシオ計算機製の電卓を使用した場合の操作方法です。他社製電卓では操作方法が異なる場合があります)
計算内容 | キー操作(下段は%キー付きの電卓の操作) | 表示 |
---|---|---|
全体の合計 | 35+20+3÷100÷÷35+20+3÷÷ | 0.5858 | 「はい」と答えた人の割合 | 35=35% | 60.344827 | 「いいえ」と答えた人の割合 | 20=20% | 34.483758 | 「どちらでもない」と答えた人の割合 | 3=3% | 5.1724137 |
定数計算の様子
ポイントは、同じ計算をする数(定数)に続けて演算キーを2回続けてタッチするところです。
「定数」 → 「演算キー」 → 「演算キー」と操作することで定数計算が始まります。
続けて「数字=」と操作すれば、計算結果が表示されます。
ケース | 定数計算の開始方法 |
---|---|
+5を繰り返す | 5++ |
-5を繰り返す | 5-- |
×5を繰り返す | 5×× |
÷5を繰り返す | 5÷÷ |
定数計算はべき乗を求めるときにも使えます
例えば2の5乗を求める場合に、
2×2×2×2×2=
としても良いのですが、
2××====
と操作すれば、より簡単に求めることができます。
逆数計算とは?
次は逆数計算です。
逆数計算とは、分母を先に計算する必要がある割り算のことを言います。
例えば、5÷(4×(2+3))を計算する場合、普通に操作すると…
キー操作 | 表示 |
---|---|
2+3×4= | 20 | 5÷20= | 0.25 |
このように分母の計算結果を覚えておいて、打ち直さなければなりませんね。
※メモリー機能つき電卓の場合、以下のように操作すれば分母を覚える(打ち直す)必要がありません。
キー操作 | 表示 |
---|---|
2+3×4[M+] | 20 | 5÷[MR]= | 0.25 |
しかし、逆数計算機能を使えば、メモリー機能すら使うことなく計算できるのです。
キー操作 | 表示 |
---|---|
2+3×4÷÷ | 20 | 5= | 0.25 |
逆数計算の様子
メモリー機能があれば…
このように小さくても本物の電卓が搭載されているわけですが、メモリーキーがあれば電卓としてはほぼ完ぺきでした。
とはいえ販売価格とのバランスを考えれば、メモリー機能が省略されたのは納得できます。
メモリー機能があれば按分計算や縦横合計もできるのですが、さすがに腕時計の電卓機能でそこまで計算する人はいないでしょうから…
ただ、左側面にはボタンがなくガラ空きなので、ここにメモリーキーが有ったらよかったのに…といった残念な気持ちもあるんですよね。
クリアキー(C)とオールクリアキー(AC)はモードボタンで兼用
左側面にメモリーキーがあったら…と思ったのは、右側面のモードボタンが「クリアキー(C)」と「オールクリアキー(AC)」を兼用しているというキー割り当てに感心した、という理由からです。
普通のカシオ計算機製電卓のキーは5列配列で、左端にクリアキー(C)とオールクリアキー(AC)が配置されていますが、CA-506-1は面積と操作性の関係で4列配列になっています。
そのためクリアキー(C)とオールクリアキー(AC)が右側面に追いやられた形になったわけですが、むやみにボタンを増やさずモードボタンで兼用したところに工夫の跡がみられるのです。
モードボタンを1回押すと時計から電卓に切り替わると同時に、モードボタンはクリアキー(C)とオールクリアキー(AC)に変身します。
つまり1つで3役を担っているわけです。
例えば、5×6と入力するつもりが5×3と間違って入力した場合、6を押した直後にモードボタンを押すとクリアキー(C)を押したことになり、5×の状態に戻ります。
その後、6=と操作して計算結果の30が表示された後にモードボタンを押すと、オールクリアキー(AC)を押したことになり、表示が消去されます。
さらにもう一度モードボタンを押すと、本来のモードボタンを押したことになり、時刻表示に戻るというわけです。
こんな感じで少ないボタンでやり繰りできるのだから、左側面にもキーを追加すればメモリー機能が付加できたのに…と思ったんですよね。
テンキーはアラームセットにも活躍
ただ、アラームセットやストップウォッチ操作ではテンキーが活躍するので、左側面に操作ボタンが必要ないのも事実です。
ストップウォッチの操作はサイドボタンのほうが操作しやすい気がしますが、アラームセットはテンキーで直接時刻が打ち込めるので、他の腕時計よりもセットが楽です。
キータッチ音が消せる!
キータッチ音が消せるのも大きなポイントです。
(電卓モードの時に右下のリセットボタンを押すと、キータッチ音の有り無しが設定できます)
電卓を操作すると、どうしてもキータッチ回数が多くなり、結果として「ピッ」「ピッ」「ピッ」と操作音が連続して発生してしまいますが、キータッチ音を消せば周りを気にせず電卓を操作することができるというわけです。
こういった細かいところからも「電卓機能はおまけじゃなくて、本物なんですよ」というカシオ計算機の本気度が伝わってきますね。
ちなみにキータッチ音を消してもアラームの時はちゃんと音が鳴りますから、常時消音状態で使っても時計本来の機能が損なわれることはありません。
なぜか日付じゃなく曜日が常時表示のカレンダー
ここまで主に電卓機能にフォーカスを当ててレビューしてきましたが、カレンダー表示にもこの腕時計ならではの特徴があります。
それは、時刻とともに常時表示されているのは「日付」じゃなくて「曜日」ということ。
(「÷」キーを押している間だけ年月日が表示されます)
世に腕時計は数々あれど、日付じゃなくて曜日が常時表示される腕時計は他に見たことがありません。
これはこれで面白いのですが、なぜこのような仕様になったのでしょうか?
これは私の推測ですが、曜日の代わりに日付を常時表示すると、「÷」キーを押した時に表示される年・月・日・曜日の表示と整合性が取れなくなるため、常時表示は曜日になったのだと思います。
曜日の左横が空いてるのでここに日付を表示したらいいのに…とも思いましたが、ここは電卓使用時に演算記号を表示する場所なので日付表示には使えないという事情もあるようです。
ライトがない!
もう一つ言うと、ライトがないのも残念です。
まさかライトをつけてまで夜中に電卓機能を使おうとは思いませんが、時刻確認のためにライトはつけてほしかったですね。
電卓機能で電池を消費しがちなため、ライトを省略して電池の消耗を防いだのかもしれませんが、これはちょっと残念です。
趣のあるレトロな蛇腹ベルト
とはいえ、電卓機能つきのユニークなこの腕時計は、ほかにない趣のある良い腕時計だと思います。
特に注目してほしいのが、蛇腹ベルト。
どうしても操作ボタンが並んだ本体に目が行きがちですが、何とも味わいのあるベルトなのです。
写真で見たときには、あか抜けないデザインだなと思っていましたが、実物を手にしてみるとレトロな雰囲気が時計本体にとてもマッチしてます。
近未来感を狙ったはずなのに、今となっては逆にレトロ感が出てしまったところに、何とも言いようのない愛着感がわいてくるのです。
ただ、傷がつきやすいのがちょっと気になります。
写真では分かりにくいですが、買って間もないのに既に擦り傷がついてしまいました。
でもこのベルトのような艶消しベルトの場合には、傷を目立たなくする方法がありますので、いずれ別記事で紹介したいと思います。
豊富なバリエーションも魅力的!
そして、カシオ腕時計のもう一つの特徴でもある、豊富なバリエーションはこの腕時計も例外ではありません。
色調が変わるだけで全く違った印象になる、バリエーションモデルもとっても魅力的です。
Showさん、こんにちは!
久々にオジャマしますね^^
カシオのカリキュレーターと言えば、バック・トゥ・ザ・フューチャーでマーティが着けてましたね…
今年は、バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2の舞台になった2015年ですし…
マーティが着けてたものに近いCA-53Wが、映画好きの方々にそこそこ売れるみたいですよ^^;
記事掲載CA-506のステンレスベルトですが、ボリューム感があっていい感じで時計本体とバランスが取れてますね!
※電卓操作の説明動画を拝見してたら、カシオの多機能電卓が欲しくなってきちゃいました^^;
カシオの電卓って、キータッチの感触が良いんですよね♪
市之助さん、いらっしゃいませ。
あの映画は何度か見ましたが、腕時計には着目してませんでした…
やはり市之助さんは、いろいろ詳しいですね。
調べてみると、マーティーがやってきた未来が2015年10月21日だそうで、その日にCA-53Wのレビュー記事をアップするのも面白そうです。
本当は「データバンク カリキュレータ」ではないんだけどね、「カリキュレータ」が正しい。
データバンク発売以前からあるスタイルだね。
でも、これの樹脂モデルCA-53W買ったら、腕時計のスタンドのところに「データバンク」と書いててビックリ。データバンク機能無いのにメーカーが間違えたら詐欺だぞ。
1980年ごろ、他社の計算機モデルがボールペンの先でテンキーを押すのに、カシオは指で押すことにこだわったんだね。1番押されているボタンを判別できる仕組みだと宣伝してたよ。
よっし様
コメントありがとうございます。管理人のShowです。
おっしゃるとおり「カリキュレータ」が正しいですよね。
当時の私には、セイコーチェックメイト(ボールペンの先で押すタイプ)の方がかっこよく見えましたが、生き残ったのはカシオでした。
ところで、「1番押されているボタンを判別できる仕組みだと宣伝してた」というのは初耳でした。
教えていただき、ありがとうございました!
Showさんのレビューが決め手になってCA-53Wを購入しました。
角度を変えてもセグメントパターンが浮き出してこない綺麗な液晶。
小さなボタンが押し難いとは言え、きちんと計算できる素晴らしさ。
10分毎にピッ!と電子アラームが鳴る24時間計測のストップウォッチ。
おまけにデュアルタイム付き。昭和の小学生なら夢のマジックアイテム。
そんな凝縮された高機能ミニマムツール感にニヤリとしながら
買い物時の消費税計算で計算機能を役立たせています。
世界中の人類全てがスマホを所持している訳ではないので、
私にとってこの機能は本当に有りがたい限りです。
「昭和の小学生なら夢のマジックアイテム」には私も同感!
まさに「カシオ計算機」ならではの商品ですよね。
買い物計算では消費税のほかにも、グラム(1個)当たりならどっちが安いか?って時にも使ってます。
(^^;まさに、MI6官給品のようですねw昭和の、小学生の一言が
私の意欲をそそります(汗)義務、使命感?のような気がする(–;
確か、この時期?フルチン?のおっさんが歩いてるCMをやっていたような
気がします?これがあれば、私は何もいらない!とかの台詞でしたが。
まさに昭和の小学生スパイには、必須のアイテムですね!
でも、こいつがコレクションの仲間入りしたら、さすがにバレませんか?
(他と雰囲気が違うので、いつもの手口が使えるでしょうか?)
でも、これを隠し通せたときこそ、真のスパイの仲間入りですね(笑)